THE 16th EAST EURASIA INTERNATIONAL WORKSHOP
Present Earth Surface Processes and Long-term Environmental Changes in East Eurasia
September 16-20, 2019, Ulaanbaatar, Mongolia
Website: http://eeiw2019.ipg.mn/
「地形の辞典」発行記念シンポジウム「社会と地形学のコミュニケーション―地球環境変動・自然災害と地形用語―」
開催の趣旨
2011年の東日本大地震および2016年の熊本地震、そして過去数年の豪雨による自然災害等は、地球温暖化問題とともに地学現象の社会化を大きく促進させている。この社会化の促進には各種報道が大きな役割を果たしているが、災害時における有効な情報源に留まらず、地球の理解を進めるための貴重な契機となり、科学的枠組みを通して社会と自然との調和、社会の防災力・減災力の向上、自然科学の普及・教育にも大きく貢献するものである。従って、報道による社会化の機能には科学的枠組み志向したものも必要であり、研究・教育の場との適切な連携が不可欠である。
地球環境変動の解明とともに地震・豪雨等に関わる自然災害の解明は地球科学研究者に課されたミッションの一つのであるが、多くの自然災害は地球表層部での変動に起因している。従って、地球表層部の変動の解明をその主たる目的の一つとする地形研究者の果たすべき役割は、防災・減災のハードおよびソフトな側面を担う工学系研究者・人文系研究者の役割とともに自然災害研究の基礎・応用のいずれにおいても極めて重要である。自然災害を対象とする地形研究でも、関連分野との密接な協力・情報の共有化が必須であることは言を俟たないが、それに不可欠な共通言語が十分に整備されていないのが現状である。地形を表現する用語には地形学的に定義されたもののほかに、技術用語、行政用語等々があり、それぞれの分野で定着したものも多く存在するので、統一した共通用語の確立は必ずしも円滑に進むとは思われない。しかしながら、地球環境変動や自然災害の科学的知見を教育の展開や一般社会の科学的理解に役立てるためには、何らかの整理が必要である。 日本地形学連合は2009年の創立30周年事業の一環として、創立35周年に発刊するために「地形の辞典」の編纂に取り組んできた。そして、ようやく2017年2月にその発行に漕ぎつけることができた。この辞典は地形学的に定義された地形用語の解説という観点から編纂されたものであり、統一的な地形用語の確立を目的としたものではないが、各分野で使用される地形用語の整理の基準として有用であろう。
本シンポジウムは「地形の辞典」の発行を記念する行事として計画されたものであるが、地球環境変動や自然災害に関わる地形学的知見の社会への還元や近い将来社会を担う若い世代へその知見を適切に伝えることを念頭に置いた用語に関する議論を目的としている。 シンポジウムでは日本地形学連合から地形用語の使用の問題点と現状、「地形の辞典」の役割に関する報告、また上述の関連諸分野から用語使用に関する現状と整理、情報の共有化に関する提言、そして地形学的知見の社会や次世代への伝達に関わる議論(知識の普及と教育)等を行う。
日時
2017年4月22日(土)13:00~18:00
場所
中央大学駿河台記念会館(東京都千代田区神田駿河台3-11-5)
プログラム
開会挨拶 倉茂好匡 (日本地形学連合会長/滋賀県立大学)
鈴木隆介・砂村継夫・松倉公憲(日本地形学連合 地形の辞典責任編集者)
『地形の辞典』に期待される役割
丸谷知己(砂防学会会長/北海道大学)
自然災害とくに土砂災害における地形や地学現象に関わる用語の現状と問題点
宮下 敦(成蹊中学高等学校)
初等中等教育現場から見た日本の地理地学関係の教科書について
(休憩 14:40-15:00)
三橋浩志(文部科学省)
地形学習を巡る最近の動向
前田安正(朝日新聞メディアプロダクション)
新聞報道と地形用語 読者の理解と専門性について
山口 勝(NHK放送文化研究所)
メディアから見た地形用語 ~防災・減災に活かすためには?
総合討論