日本地形学連合

論文解説

一般社会人、中学生・高校生等を対象とした「地形」掲載論文の解説欄の新設

日本地形学連合は研究成果の一般社会への還元や中等教育への貢献を目的とした各種の事業を進めてきました。この一環として、公開シンポジウム等を通じた地域社会との関わりも重視しています。2017年の秋、当連合は北海道七飯町の大沼国定公園において、公開シンポジウム「火山活動による堰止湖の形成とその後の環境変動-北海道駒ヶ岳と渡島大沼を対象として」を関係研究機関(金沢大学・北海道教育大学・北海道大学)、関係地方自治体(北海道・七飯町・森町・鹿部町)との共催の下に、北海道新聞(函館支社)の後援を得て開催しました。このシンポジウムは講演・巡検・総合討論で構成されましたが、地域からも多くの参加者が得られ、また内容紹介の記事が北海道新聞に掲載されたことにより、研究成果の社会への還元という目的を、ある程度果たすことができました。
この時の講演内容を骨子とした論文が本年(2019年)1月発行の地形40巻1号に特集号として出版されました。その後、この特集号を寄贈した北海道新聞より一般読者向けへの記事掲載の提案がこの特集号を編集した筆者(柏谷)に寄せられました。研究成果の一般社会への還元や中等教育への貢献という観点からも一般読者向けの解説文の作成は重要なことですので、北海道新聞担当者とその方法について協議しました。その結果、特集号の個々の論文の要点を新聞記事およびweb記事として北海道新聞が掲載し、web記事から日本地形学連合のHPにつなげ、このHPで個々の論文の内容を分かりやすくした解説文を掲載するという案となりました。この案は2019年度の社員総会での了承も得られましたので、各論文の新知見や興味を引きそうな部分を中心になるべくわかりやすい形で紹介することになったというのが本欄開設の経緯です。また、公開シンポジウムを共催した地元自治体:北海道(渡島総合振興局)や七飯町のHPからも本欄が閲覧できるようになる予定です。地形特集号に収録された論文のタイトル・著者名は別記していますが、本報告では解説内容に従った下記のタイトルを採用しています。論文本体はいずれ「機関誌・刊行物」欄を通して閲覧可能となりますが、当面は本欄でも閲覧可能です。

1.北海道渡島大沼の湖底に刻まれた地表環境変動             柏谷健二
2.天明八年、古川古松軒の見た駒ヶ岳と火山灰の発見           雁沢好博
3.渡島大沼湖沼堆積物から推定される近年の流域環境の変動                  落合伸也
4.北海道渡島大沼の湖沼堆積物に見られるヒ素と環境の変化(予定)    福士圭介
5.渡島大沼の富栄養化そしてアオコの発生と環境に優しい対策(予定)   今井一郎
6.北海道のダム堆砂速度から見た流域スケールでの土砂生産量の変化(予定)丸谷知己・黒木幹男・笠井美青

 今回は公開シンポジウムに関係した論文の解説ですが、近年は社会との関わりを意識したシンポジウムも開催されており(2017年4月「社会と地形学のコミュニケーション」)、その報告は特集号としても出版されています(2018年7月)。また、「女子中高生夏の学校」の運営やジオパ-ク活動にも積極的に関わってきていますので、地域社会や教育等に関係する報告も本欄を通じて広く一般社会に発信していく予定です。

柏谷健二(一般社団法人日本地形学連合理事)


別記

地形40巻1号特集号論文のタイトルと本文PDFへのリンク
1. 湖沼-流域系から推定する地球環境変動---柏谷健二・糸野妙子・落合伸也・石川一真・長谷部徳子
2. 北海道駒ヶ岳,1640年大沼湖沼群の誕生と変遷---鴈澤好博・岡島洋平・佐々木一郎・蒲生元樹・黒柳萌々子・人見美哉
3. 大沼湖沼堆積物に基づく近年の堆積・流域環境変動の推定---落合伸也・糸野妙子
4. 北海道大沼湖沼堆積物におけるヒ素の存在形態と環境動態---福士圭介・矢部太章・糸野妙子・落合伸也・村上拓馬・長谷部徳子・柏谷健二
5. 渡島大沼における富栄養化とアオコの発生,および環境に優しいアオコ対策の可能性----今井一郎・宮下洋平・小林淳希・大洞裕貴
6. 北海道のダム堆砂速度から見た流域スケールでの土砂生産量の変化---丸谷知己・黒木幹男・笠井美青

 

 

一般社会人、中学生・高校生等を対象とした「地形」掲載論文の解説欄の新設